恋とボルバキア

恋とボルバキア

凄くざっくりとした言い方をしてしまえば女装する人とその周りの人達を取り上げた映画なのですが、僕が行った劇場は水曜日が割引の日となっているので1100円で観る事が出来ました。

まあ、一か月ぐらい前からこの日に行くぞというのは決めていて、恋とボルバキアを上映していながら割引で観れるタイミングの今日を狙っていたのですが。

 

女装の人の恋やら生き方がどうこうとかいう話だったと思うのですが、そこまで女装の部分というのは頭に入って来ず、恋愛模様やら借金苦やら、別に女装してようがしてまいが誰でもありうる話ばかりが印象に残りましたが、多分これはもう今までの人生でそういうのをお腹いっぱい見てきたからだと思います。

 

一番印象に残ったのはオトコノコ時代という雑誌の編集長の井戸隆明さんが中々の屑っぷりを発揮していたという事で、同棲までしている本命がいながら他の人と恐らく関係を持っていて、更にそれを平気で映像に残させるあたり、良い感じに屑を極めてるなあと思いました。

この井戸隆明さんはインターネットの動画等で割と自分の性癖の詳細について語っていたりするのですが、性の目覚めが早熟な上に色々斜め上に行かれている方なので、一緒くたに考えていけないのは解っていますが、それでもその上にこれはもう...。

 

他に印象に残ったのは井上魅夜さんという人で、僕がホルモンを始めたきっかけはこの人の本を読んだというのが結構大きかったりしますし、考え方も凄く共感出来る人物なのです。

ただ、一時期表舞台から消えていた時期もあって、この映画ではその時期の映像も残されているのですが、東京の湯島に出していたお店の経営の関係で借金苦になってしまい、その上一日に使えるお金が五百円しかないという極貧状態にまで追い込まれていた事は全く知りませんでした。

...しかしそこから割と短期間で名古屋にお店出してますが、一体どうやったんだろ...。

 

後印象というより共感が大きかったのは、魔女会の王子という人が言っていた恋愛感情が解らないと言う部分でした。

僕自身は現状恋愛感情が恐らくあると言える人間ですので、共感という言葉は違うのかもしれませんが、そもそも恋愛感情て何と聞かれると人によって十人十色の答えが出ると思っていまして、恐らくそれだけ曖昧な物ですのでこれに関しては王子というよりも誰も明確な恋愛感情なんて解っていないんじゃないかと思う訳なんですよね。

王子はツイッターで人を愛する事は出来ない、けど人は好きとも書いていまして、でもどこまでが好きでどこからが愛なのかと聞かれると、恋愛感情の時と同じように人によって十人十色の答えになってくるのかなあと思いますので、やっぱりそこも誰も明確には解らないのかなあなんて思いつつ、まあこの辺は付き合っていく人同士がそれぞれに納得出来る答えを出していけばそれで良いのかなと勝手に自己解決しながら観ていました。

 

といった感じで他にも色々な話であったり様々な登場人物も出てくるのですが、まあ普通に楽しんで観てました。

 

女装うんぬんについてはもうお腹いっぱい見てきた人間ですので女装の部分に関して今更新鮮感はなかったのですが、それでも映画を観ながら考えていたのは僕が女装する側の人間になっていたら今頃どうなっていたんだろうなという所です。

今は全く女装する気なんてなく、普通に男の格好をして生きて行くのに何ら不満はないのですが、昔そうではない頃が少しだけあったのも事実で、例えばその時に女装を覚えていたら今頃何してただろうなという事を考えない訳ではないんですよね、やっぱり。

 

長年女性ホルモン剤を摂取し続け、殆どの部位を脱毛し、次は睾丸摘出を予定しながらも女装をする気がないって結構珍しいと思っているのですが、僕自身今の所一体どうなりたいのか明確には自分でも解っていないので、数年後何になってるんだろうなと思ったりもしました。

 

...宅配便とかが来た時って面倒なので普通に部屋着のハーフパンツで出たりするのですが、そうなるとすね毛がないのは丸解りですし、顔を見ると髭もないのに普通に男声で男として対応しているので変な人と思われているんじゃないかとか、色々考えるんですよね。

僕の思う普通の男というのは、ある程度筋肉があって髭跡が程よくあり、他にも肉体や体毛、性格に男らしい部分がたくさんあって普通の男だと思ってるのですが、僕は正直普通の男が持っているものは殆ど何も持っていませんし、かつて持っていたものも女性ホルモン剤の影響などで殆ど棄てた人間なので、僕は普通の男とは程遠い存在になっています。

 

...筋肉は女性ホルモン剤を摂取する前に筋トレしても付かなかったので、元々の体質が女性寄りの部分もあるのかもしれませんが。

 

でも何をしようが僕は性自認男だし、そうなると結局色々とよく解らない存在だなというのは自分で勝手に考えて悩んだりするんです。

 

何だかんだ色々考えさせられる映画でしたが、映画を観ながら飲むリアルゴールドは本当に美味しかったです。